コミュニケーション講習は、10月18日より『DXデザイナ―講話』がスタートしました。
様々なフィールドでDXの推進に従事し、活躍されている先輩方にお話を伺う授業で、トップバッターは中外テクノス株式会社の尾崎氏。まさに地場の中堅企業のDX現場です。
どんなことを目指し、どんなことに苦慮し、どんなことを達成しておられるのでしょう?
1.DX推進のステップ
企業概要や事業内容と、現在展開しておられるデジタルサービスの紹介のちに、社内のDXの取り組みについてお話を頂きました。
DXは情報リテラシーの高い一部の人材のみならず、誰でも取り組めるようDX1.0~DX2.0へと3つのステップを設けて、これらを並行して進めておられます。
事業価値を高度化するDX1.5や新規事業を創出するDX2.0など中長期的な取り組みと併せて、業務改善や効率化を図る短期的な取り組みもDX1.0として大切にされています。
尾崎さんはMicrosoft365の導入推進のほか、Power Platformを活用したお弁当予約システムの開発や導入を通じて、ローコード開発への意識づけなど熱心に取り組んでおられます。
DX推進の原動力は、業務部門の意識の向上にあると捉え、研修の企画運営やMicrosoft365の導入推進など、DX1.5の支援に力をいれておられます。
2.3つのDXアンチパターンと対処
DXの推進にて陥りがちなアンチパターン3つと、その対処法についてお話を頂きました。
①「How」から考える→まず「Why」を追求する
「RPAを導入して自動化しよう!」とか「ツールを導入して解決しよう!」といったように、目的より手段でDXを考えてしまうケースです。
DXを商機ととらえたベンダーが積極的にツールの宣伝をされていますが、ここは冷静にHowより先にWhyを考え、問題の本質をとらえてから解決策を考えること。
これは「自分の成果」へのこだわりが強い人が陥りやすい罠でもあるとか・・・。他者貢献を意識して協力し、誰かを幸せにすることを考えることをアドバイスいただきました。
②理想が高すぎる→長期的かつ段階的に取り組む
よくあるのが「完全自動化」とか「ミスを0%に」など、現実的には実現不可能な目標を設定してしまうケースです。ゴールが遠すぎて見えない・・・
これも「自分の成果」へのこだわりが強い人の罠なのかも知れませんね。いきなり大きな成果を挙げることも、最初からオリジナリティを出すことも不可能です。
小さく始めて小さな成功体験を積み重ねて段階的に成長していくことや、他社の事例を真似ることから始めるなど、実験的要素を持ちながら進めていくことアドバイスいただきました。
③孤軍奮闘してしまう→皆が自分事にできるように
DXという言葉がバズって「やらなくちゃ!」となってDX担当という役割が生まれて・・・。でも当人はDXの必要性を感じていないケースです。
当事者が自分事としてとらえることはもちろんですが 、周囲の方にも自分事としてとらえてもらうには、「自分の成果」は捨ててしまう方が良さそうですね。
自分が推進するというモチベーションは持ちながらも、周囲の方々の能力の発揮場面も準備して、皆で推進していく体制や機運をつくっていくことをアドバイスいただきました。
総じて「自分の成果」を捨てて「全員の成果」とすることで推進していけるものと考えると、当事者の人間的な成長や成熟も成功要因になると思いました。
3.相互成長を目指そう!
これから先の急激な人口減少の中で成長戦略を描くことが難しくなっているなか、多くの企業がDXにその活路を見出そうとしています。
技術的な課題のみならず組織的な課題・・・もっと言うと人間的な成長課題をそでにおいてDXの成功は見込めないのかも知れません。
目指しているのは大きな改革ですから、自分や他人の人間的成長や成熟を伴うことを認識し、そこに向きあう機会ととらえるべきなのかもしれませんね。
尾崎さんも、相互成長を促す言葉で授業を締めくくられました。人間力こそDXの推進力!?
引き続き、「自分」と「世界」に「沢山」の「発見」をご一緒しましょう!