隅田です。
前回の職業レポートに引き続き第6回です。
今回は、市民開発者の代表的存在である あーちゃん さんにオンラインで授業していただきました。自身、101期生の時にも彼女のご講演は聞いており、正に「リスキリング」の気持ちで臨みました。
特に、この度は Microsoft MVP 2022 を受賞されてからのお話となることもあり、また、私もにわかに知識が増えてきたこともあり、前回とはまた違った雰囲気で拝聴できました。
市民開発者のロール・モデルとして、とても刺激的なお話を賜りました。
あーちゃん さんについて
努力の末、現在の地位を築かれた あーちゃん さんですが、そもそもITには興味がなかった事務員でした。そんな彼女がRPAの道に進むことになったのは「人工知能に仕事を奪われるかもしれない」という一種の恐怖感だったと言います(参考:消える職業)
その恐怖感に突き動かされて勉強を決意し、通常業務と両立し、さらには周囲の理解を得られない逆境とも戦いながら、年間約200時間の業務効率化に成功されました。
現在とは異なり、学習環境も整っていない中での学習だったはずなので、非IT部門の実績としては前人未到の数字だと思います。個人的に、市民開発者のレジェンドだと尊敬しております。
現在は、ITが好き…というよりも「便利になるのは喜ばしい」という思いがあり、とあるローコード支援会社で「エヴァンジェリスト」としてご勤務されています。
エヴァンジェリストとは、最新のテクノロジーを啓蒙する人のことを指します。RPAの普及・浸透を働きかける専門家として、ビットゼミ103期生を導いていただきます。
授業形態はQ&A方式で、主に、事前に訓練生から募った質問で構成されています。全てをお見せしたいところではありますが、今回は、その中から厳選した5つに絞ってシェア致します。
授業:市民開発者 Q&A
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いろんな業務改善ツールがある中で、RPAの道を選んだ理由は?
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最初はVBAの勉強をしましたし、Pythonもオンラインで学習しました。しかし、両方とも自分にとっては大変でした。
そこでRPAの動画を観たのですが、マウス操作でできるという点など、学習にかかる負担を軽くできそうだと思いました。
これなら自分にもできそう…ということから、RPAの学習に取り組みました。
確かに、VBAとは違って「直感的にフローを構築できる」というのは強みだと思います。努力が必要なのは相違ありませんが、最小限のコストで最大限のパフォーマンスを得られるというのは魅力的ですよね。
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RPA導入における反対勢力の対処法を教えてください!
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まずは仲間を作って、その仲間から巻き込んで行きましょう。まずは実際に作ったものを仲間内で共有して盛り上がってください。
「なんか楽しそうなことをやっているな」という所に人は集まって来ます。そうして努力を重ねながら少しずつ仲間を増やしている内に、その抵抗勢力も皆さんの仲間になっているかもしれません。
人を動かすことはとても難しいですよね。だったら、動いてくれそうな人に協力してもらい、少しずつ輪を大きくしていくことが大切ですね。
難色を示す人が自ら協力してくれるように働きかけることを考えたいものです。その原動力は「楽しい」や「嬉しい」だと思いました。
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通常業務と学習の両立は大変なのでは?
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大変です。しかし、実務で「業務改善ツールを使った」という経験はとてつもない財産です。世の中は「勉強したことはあるけど実務経験はない」という人たちに溢れているからです。その業務の中でツールを使うことは、必ず皆さんにとってプラスになるはずです。
DX部門があるなら別ですが、まだまだ多くの企業では「実務とは無関係の仕事」という立場にあると思います。ただでさえ仕事が多くて大変なのに理解も得られにくいとなるとツラいはず。
しかし、がんばった先にあるのは「業務改善ツールの実務経験」という実績です。仮に職場を失ったとしても、実績は残ります。体調に気をつけながら頑張ってみる価値は大いにあるように思いました。
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RPAをチームで進めるなら、どういう役割分担をすればよい?
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RPA導入には、マルチな能力が求められます。理想は①開発担当、②推進担当、③調整担当がいると良いです。
具体的には、①他人に説得できるほどの開発スキルがある人、②RPAはよく分からないけどやらないといけないなと思わせる工夫ができる人、そして、③RPA推進チームと周囲を上手く繋げられるようなムードメーカー的存在がいれば良いですね。
確かに、これを1人でやろうと思うと大変ですね。単に開発ツールを習得しただけでは「変革」は起きません。どんな仕事をする上でもコミュニケーションやチームワークは必須能力ですね。
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導入までのモチベーション維持の方法を教えてください
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自分の場合「事務職が無くなるかもしれない」という恐怖心と焦燥感に突き動かされていました。この時に支えてもらっていたのはやっぱり仲間の存在で、特に、SNSでの応援メッセージのおかげで頑張れたと思っています。
また、RPAを使って何がしたいのかという目標が明確だったことも継続の鍵だったと思います。ただ何かを学習するというだけでは面白くないので「会社全体に価値のある仕事をしてもらいたい」という気持ちで取り組みました。
最後に、自分にプレッシャーをかけることも時には必要です。ブログで記録することも、単なる記録だけでなく、引き返せない状況を作ることに役立てられました。
モチベーションに頼るのではなく「変えたいという意志」や「危機感」を持つことが大切なのですね。私も、少しは自分にプレッシャーをかけないといけません。特に、授業で出てくる質問全てを返せるようになりたいものですね…。
他にも、RPA導入においてどういう障壁があったのか、こうしていればもっと導入が上手く行ったのではないか、朝早く起きるようにしていた理由、今後の展望(あーちゃん自身の目標)などなど、他では聞けないような貴重な情報を共有していただきました。
最後に一言、応援メッセージを頂戴しました。その紹介をもって103期での授業レポートを締めたいと思います。
もし、ビットゼミが自分の住んでいる近くにあったら入っています。実務で必要なスキルを教えてもらえる環境と仲間の存在は必ず皆さんにとって有利に働きます。がんばってください!
※アイコン画:松田軽太さん
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