6時限目のコミュニケーション講習は、現段階での自己分析タイムを終えて、また科目末のDX課題に入りました。その移行期にまた変わったワークを行いました。
といっても、このクラス(学習環境)を作っていくうえで大事なステップになりうるもので、新たな課題に向けたチーム編成を前に実施したいと考えていたワークです。
1.マインドセットとは
私たちは、いろいろな経験をエピソードとして記憶していますが、それを繰り返すうちに意味の記憶に昇華されます。チャンクが上がって理解が深まっていきます。
こうして、いろいろな経験は抽象化されて〇〇観(マインド)を形作っていくのですが、その集合体をマインドセットと呼んでいます。
私たちが持つマインドセットは、私たちの思想そのものであり、物事の捉え方や物の考え方の全てに影響し、行動や言動を決めています。
マインドセットは、個人のみならず組織や集団も持っています。訓練成果を上げるため、このクラスの規範としたいマインドセットの学習に取り組んだというわけです。
2.やればできる!の研究
一つの切り口として、「しなやかマインドセット」と「コチコチマインドセット」というものがあり、スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック博士が提唱しています。
彼女の研究は有名で、Google検索をすると、人事や教育に関するサイトが多くヒットします。本人がTEDでスピーチしたYouTube動画とわかりやすいサイト記事を貼っておきますね。
マインドセットとは?意味と重要性をわかりやすく解説 【中途採用ノウハウ】 | リクルートエージェント (r-agent.com)
2つのマインドセットの違いは、自分も他人も状況も「成長過程にある」という前提に立った価値観と、最終の「評価段階にある」という考えに立脚した価値観です。
能力は、後天的努力によって拡張していけるという考え方と、先天的遺伝によって固定されているという考え方では、意思決定や行動様式に大きな違いが生まれそうですね。
3.しなやかさんとコチコチさん
さて、ドゥエック博士は、とある実験を行います。子供たちを2グループに分けて、パズルを解かせるという実験です。
Aグループでは、頑張ってる子供たちの成長を誉め、Bグループでは、パズルを解いた子の能力を誉めたそうです。子供たちはどうなったか?というグループワークを行いました。
子供たちはどうなったのでしょうか???
Aグループは解けても解けなくてもどんどん上を目指してそう。
Bグループは解ければ現状維持、解けなければやる気なくしそう。
Aグループは皆が「解けない」パズルを解いたそうですが、
Bグループは「解ける」パズルしか解こうとしなかったとか。
Aグループはパズルそのものに集中してそうだけど、
Bグループは勝ち負けや順番の方を気にしてそう。
Aグループは、できないことをお互いに質問できたそうですが、
Bグループは人に聞くことは負けを意味することだったようです。
Aグループはいつかできるようになれると思ってそうだけど、
Bグループのできない子は一生できないように感じてそう。
Aグループは未来の自分にフォーカスしていて、
Bグループは現時点での自分がすべてになってそうですね。
このように、AグループとBグループを対比しながら、しなやかさんとコチコチさんという2体のデフォルメしたキャラクターをワークシートに作っていきました。
しなやかさんとコチコチさんはいずれも、私たちの中に住んでいるキャラクターです。自分や他人の状態を把握し、視野を広げたり視点を変えたりしたいときに登場してもらいましょう。
「しなやかさんならどう考えるかな?」「コチコチさんになってないかな?」「彼をコチコチにしているのは何か?」といった脳内対話の相手になってくれると思います。
4.2つのマインドセットの対比
しなやかさんは、能力は努力によって伸ばしていけると考えており、コチコチさんは、能力はもはや決まっていると考えています。そうなると、努力の方向が変わってきます。
しなやかさんは本当に賢くなるよう努力しますが、コチコチさんは賢く見せる努力をするようになるでしょう。実際、パズルが解けなくても胡麻化したりしたそうです。
しなやかさんとコチコチさんの信念にフォーカスしてみましょう。成功、失敗、挑戦、試練、努力・・・これらに対して、どのような価値観を持っているのでしょうか?
能力は伸ばすもの、発揮するものという前提と、能力は見せるもの、証明するものという前提では、価値観も随分と変わってきますね。
コミュニケーションにおいては、異論について、未知の事柄について、知識について、学習やその目的について、どのような態度で臨むのでしょう?
訓練生活においてはしなやかさんで過ごしてほしいと思っています。しなやかな学習環境は、訓練成果を劇的に高めてくれるものと考えています。
DXの推進においては、抵抗勢力と対峙することもあると考えます。コチコチさんの心情にも寄り添いながら、しなやかに問題解決ができるマインドセットも獲得していきましょうね!
5.余談「オオタニサンはしなやかさん💗」
MLBのAngelsで連日大活躍の大谷翔平選手語録がツイートされているのを見ましたら・・・
- やれるかやれないかではなくて自分次第
- 打てるってわかってる打席で打っても面白くない
- ムダな試合やムダな練習というのはない
- 他人がポイッて捨てた運を拾っているんです
- はやりの音楽なんてほとんど知りません。野球のことばかり考えてきました。
- 目標などは思うより書いた方が実行できると思う
- 怖さ、プレッシャーあっての楽しさ
- 成功するとか失敗するとかぼくには関係ない。やってみることの方が大事
- 自分の評価は自分でしないっていう風に決めているので
- くやしい経験がないと、うれしい経験もない
- 160km出すよりも日本一になって岩手の方々に喜んでほしかった
- 思いからどうやってやればいいのかなって生まれてくる
- ムリ、絶対にできないといった限界を感じたことは一度もありません
- 周囲がムリだと言っても気にせず、自分の力を信じて投げ込んだ結果です
- 憧れるのをやめましょう。憧れてしまっては超えられないので…
とってもしなやかで恩送りな人でした。やっぱり💧
一方、世間はコチコチなんだよね。やっぱり💧なブログ記事も👇
「ビリギャルは、元々頭が良かったんだよ。」|小林さやか | Sayaka Kobayashi (note.com)
まずは、キャロル・ドゥエック著「マインドセット」を読んでみてください。
引き続き、「自分」と「世界」に「沢山」の「発見」をご一緒しましょう!